轍 〜自転車的なる日記〜

最近、VSTプラグインなるものを開発しております。何かというと、まあソフトシンセの一種なんですが、単体で動作するわけではなくてホストアプリに組み込まれて動作するタイプのモジュールです。VSTというのはもともとドイツのSteinberg社が提唱した規格ですが、本家のCubaseをはじめ、SONARなど大多数のDAW(MIDIとオーディオを統合した音楽制作アプリケーション)が対応しています。いわばDAW界のデファクトスタンダードみたいなものですね。

これを使うと何が便利かというと、外部のシンセとまったく同じように扱えるということなのですね。VSTのVとはVirtual(仮想の)という意味であり、シーケンサー上に仮想のシンセを自由に組み合わせて演奏させることができるわけです。最近のPCの能力からすると完全にハードのシンセを上回っており、もはやソフトシンセだけですべてを賄えるようになってしまいました。ハードと違って場所を取らないので良いことづくめです。これじゃ電子楽器メーカーも苦しいでしょうなぁ・・(^_^;

そのVSTプラグインは普通市販されているものを購入したり、フリーで出回っているものも多数ありますが、それを自分で作っちゃおうということで開発が始まったわけです。一応SteinbergからSDKという形で規格が公開されているので、それに従えば自作することも可能なわけです。とは言っても、最初はそんなに簡単ではありませんでした。サンプルのソースはビルドできても、いざ自分で作ろうとするとわけのわからないコンパイルエラーがいっぱい出てきて二日くらい悩みました。リファレンスはあっても手順書みたいなものがまったくないので、何から始めればいいのかさっぱりわからないんですよね。おまけにこの手の情報はすべて英語と来ています。英文を読むのを嫌がっていては何にも進みません。

それは結局ソースをじっくり読んでいるうちに解決していったわけですが、プラグインを作ること自体はそんなに難しくありません。要するに波形を生成する部分だけ作ってやれば、あとはホスト側が音声出力処理をやってくれるのでとっても簡単です。MIDIの演奏もホスト側がやってくれるので、最小限の労力で実用になるシンセができます。

いきなりサンプラーなんかを作ってしまいましたが、拍子抜けするほど簡単でした。だって読み込んだ波形をそのまま鳴らすだけですから普通のシンセよりむしろ簡単です。ただそれだけでは音楽にならないので、音程ごとに周波数を変えてやる必要があります。これは結構難しいと思ってましたが、やってみるととても簡単にできることがわかりました。周波数を変えるには波形を引き伸ばしたり縮めたりする必要があるのかなと思ってましたが、発想をまったく変えて、波形テーブルを読み出す速さを変えればいいだけのことです。要するにテープを早回ししたり遅回ししたりするのと同じことですね。実際には元の音程からあまり離れると全然違う音になってしまうので、実用的には音域ごとにマルチサンプルにする必要がありますが、そういううるさいことを言わなければ原理は非常に簡単です。

ピアノの波形を入れてやれば、当たり前ですがちゃんとピアノの音が鳴ります。一応和音も出せるようにしてみました。自宅のキーボードで弾くとちゃんとリアルタイムで演奏できるではありませんか。ちょっとプチ感動です。(笑)

とは言うものの、これで売り物になるかというと話は別です。市販ソフトは言うまでもなく、フリーで配布されているものであっても非常にレベルの高いものがゴロゴロしています。わざわざ自分で作る必然性など何もありません。こんなオモチャみたいなものでは逆立ちしても金を取ることはできません。しょせんは自分で作ってみました・・・という自己満足のレベルなんですよね。自分の作ったシンセで自分の曲を作るというのが究極の自己満足か・・(笑)

ちゃんと実用に耐えるものを作るにはまだまだやらなければならないことがいっぱいあるわけで、そんなに簡単な話ではありません。なんかあちこち「さわり」の部分だけつまみ食い的に手を出して、「完成品」を一つも作れないのは非常に消化不良な気分ですな。一つでいいから「売り物」になるものを作ってみたいと思ってるんですが・・

そして今度はついにホストの方まで作り始めました。(^_^; ホスト側は音声の出力処理をやらなければいけないのでプラグインよりかなり面倒ですが、まあこの辺はすでにノウハウが蓄積されているのでそんなに苦労せずにできちゃいましたが・・。確かにプラグインだけ作ってもホストがなければ何の役にも立たないわけで、デモ用みたいなものですが、こんな超低機能なホストなんか作っても意味あるんでしょうかねえ?(^_^; 市販のホストは買えば高いですが、フリーのホストも存在してますし、ちょっと試すくらいなら十分実用になります。これぞまさに究極の自己満足ですな・・(笑)

ホストとプラグインを両方作るということは、結局スタンドアロンのシンセを作るのと何も変わりません。VSTを使ったからと言って簡単になるわけでも何でもなく、すべてを自分で作らなければならないのは同じです。ここまで来ればスタンドアロンのシンセを作るノウハウはすべて身に付いてしまいました。あとは時間さえあれば「製品化」することも夢じゃないのか・・・
2007.08.23 23:54 | DTM | トラックバック(0) | コメント(0) | にほんブログ村 自転車ブログへ

Reason 3.0の画面

一年ほど前に買ってほとんど使いこなせてないんだけれども、これは凄いソフトだ。いわゆるソフトシンセの一種だが、単なるソフトシンセにとどまらず、ミキサー、エフェクター、リズムマシン、シーケンサーなどを統合したワークステーションである。このパッケージ一つであらゆるジャンルの音楽制作が完結する。

見ての通り、外観は実物のハードウェアを模したもので、仮想的なラックにデバイスを次々と追加してシステムを構築することができる。操作性の良さは素晴らしく、実際のハードウェアを操作したことのある人ならマニュアルなしで十分使えるだろう。ノブやスライダーの反応も非常に良く、まったくストレスがない。これはソフトウェアの理想ともいえる優れたユーザーインターフェースである。

さらに面白いことに、ワンタッチでラックを裏返すことができ、裏面のパネルが現れる。裏側には実物そっくりに精密に描き込まれたジャックがあり、マウス操作で自由自在にケーブルを接続することができる。何とケーブルが揺れるアニメーションまで取り入れられており、遊び心たっぷりである。ここまで精密に作られていると、グラフィックを見ているだけで楽しくなるソフトである。

reason_rear.jpg
ラックを裏返したところ

もちろん肝心の音質は大変素晴らしく、サンプラー系はハードウェアのシンセを凌駕するリアルで生々しいサウンドを叩き出す。これだけでフルオーケストラの再現が可能だ。シンセ系のデバイスも2種類用意されており、それぞれ特色のある個性的な音を作り出すことができる。あまりにもパラメータが多くて、実際使いこなすのは大変なのだが・・

このソフトの何が一番凄いかと言えば、制約がまったくないということである。ラックに詰め込めるデバイスの数は無制限で、複数のデバイスを組み合わせて一つのモジュールのように扱うこともできる。もちろん同時発音数やトラック数にも制約はない。唯一の制約はCPUパワーだけといえる。CPUが音を上げるまではどんな複雑なシステムでも構築できるわけだ。まさに組み合わせは無限大の夢のようなシステムだ。

もちろんいくら複雑なシステムを作れると言っても、重たすぎて実質的な自由度がなければまったく意味がない。しかしReasonの特筆すべき特徴はその軽さにあり、2GHzクラスのマシンで十数個のデバイスを同時に立ち上げてもまったく重さを感じない。この手のソフトシンセはPentium4/3GHz以上、メモリ1GB以上といったとんでもないスペックを要求するものが多い中で、なんとPentium III/300MHz以上で動作するのだ! いまどき驚きの軽さである。ソフト自体も非常にコンパクトであり、音色ライブラリを除いた本体部分は100MB強に収まっている。大きくて重たいソフトは誰にでも作れるが、小さくて軽いソフトを作るには開発者の技量が大きく関わってくる。Reasonを開発した技術者たちがよほど優秀ということなのだろう。

これは間違いなく自分たちが目指しているものの理想であり目標である。しかしこれを見てしまうと自分たちがやっていることなど子供のお遊びのように思えてしまう・・(^_^;

ちなみにReasonはPropellerheadという会社が開発している。なんとスウェーデン製のソフトである。この手のソフトは非常に高価なものが多いが、その中では格安とも言える5万円台で入手が可能だ。これだけの機能がこの値段で買えるなら超お買い得である。Reason3.0が発売されてすでに2年半が経過し、先日Reason4が発表された。Thorと呼ばれる新型のシンセが搭載されたことが主な目玉だが、それよりもシーケンサーの改良が最も実用的だろう。これまでは曲の途中でテンポチェンジや変拍子ができなくて、クラシック系には非常に弱かったのだが、ようやくこれらが可能になったことは大きな進化だ。ろくに使いこなせないうちにバージョンアップされても困るが、やっぱりこれはバージョンアップせずにはいられないだろう。
2007.08.11 20:51 | DTM | トラックバック(0) | コメント(6) | にほんブログ村 自転車ブログへ
スッキリしない天気で自転車も乗れず、家にこもってると仕事をしてしまうのがよくない傾向ですな。ただでさえ少ない時給がますます安くなっていいのか・・。案の定と言いますか、ユーザーのところで不具合が出て金曜日はイヤ〜な気分になりましたが、まあそうスンナリ行くわけがないのでこのくらいは想定内ということでうろたえてはいけません。自分のところでは出ないけどユーザーのところでは出るという環境依存性が一番厄介なんですよね。確認しようにも再現できないという・・・

で、気になることがあると持ち帰りでコソコソやってしまうのが悪い癖ですな。時間が開いてしまうとテンションが下がるのを避けたいからでしょうねえ・・。だいたいソフトの開発なんてのは考えてる時間の方が圧倒的に長いわけですよ。やり方さえ決まればできたも同然。それこそ風呂に入ってても、自転車に乗ってても常に解決方法を考えてしまうわけですわ。特に経営者側から見ればプログラマーの労働時間なんて短い方が効率的なんだよな・・。いくら会社で残業して考えたってできないものはできないし、意外と歩いてるときにふと思いついたりするものなんでね。残業させればいいと思ってる経営者はアホ。・・というわけで、もうやり方は見えた。あとは実装するのみ・・

話は全然変わりますが、また物欲に負けて新しいおもちゃを買ってしまいました(爆)。前にちらっと書きましたが、ツーリング中の「音」を収録するためにポータブル録音機を物色していたところ、ローランドから出ているR-09という機種がブッチギリのベストセラーらしいんで、これに決めました。もちろん今どきのMP3プレイヤーには当たり前のように録音機能が付いてたりしますが、オーバースペックとはわかっていてもプロ仕様じゃないと満足できないのがマニアの悲しいところ・・。当然、必要経費ですよ。まあ節税対策という名目で自分を納得させました(爆)。今後、録音機材は全部経費扱いにします。


ローランド ポータブルレコーダーR-09

これの特長は最大24bit/48kHz、無圧縮WAV形式で記録できるところが売りなわけです。CDのサンプリングレートが16bit/44.1kHz、DATのそれが16bit/48kHzですから、DATをも上回る高音質が魅力です。もちろんMP3でも記録できますが、圧縮してしまうとその時点で「素材」ではなくなってしまうため、無圧縮にこだわるマニアには大受けなわけです。

しかも記録メディアはSDカードで、汎用性のある単三電池2本で動作するところも至れり尽くせりですな。デジカメとカードの使い回しが効くところは大きいです。2GBのSDならWAV形式で最大3時間、バッテリー駆動時間は4時間となっています。マイクは高感度なコンデンサーマイクが内蔵されていて、余計なヒモがいらないところもツーリングには大変よろしい。操作は至って簡単で、とりあえずRECボタンを2回押せばすぐ録音が始まるという、まさに「デジカメ感覚」で使えます。

それにしてもデジカメ、GPS、サウンドレコーダーと電子機器満載のツーリングですな(笑)。要するに「記録」するのが好きってことか。だんだん「記録魔」になっていきそうだ・・

まだ野外では使ってませんが、ヒマに任せて曲を録音してみました。PCでも録音はできますが、うるさいファンの音を拾ってしまうので、一切音を出さないR-09は楽器音を収録するのにも好適です。容量の関係上、MP3に圧縮していますが、こちらにアップしました。ハーモニカだけ生演奏です。5年くらい吹いてなかったらメチャクチャ下手ですが、ご愛敬・・(^_^;
2007.07.01 17:36 | DTM | トラックバック(0) | コメント(6) | にほんブログ村 自転車ブログへ
最近寒さで身動きが取れない日が続いているが、家にいる時間が長いとPCを触る時間も長くなり、普段見ないようなサイトを徘徊してみたりもするのである。その時ふと目に留まったのがシンセ関係の情報。2002年頃に活動停止してからDTM関係はご無沙汰していたが、その間にとんでもなく進化してしまったらしい。

中でも面白いと思ったのはVSTiやDXiという規格のソフトシンセ。CubaseやLogic、SONARなどのいわゆるDAWアプリケーション上で動作するプラグインなのだが、それ自体が一つの独立した音源として機能するものである。これまでなら欲しい音に合わせていろんな音源モジュールやシンセなどを追加していったわけだが、当然ハードウェアだから場所を取る。そのうち機材で部屋がいっぱいなんてことになってしまうのである。ところがソフトシンセならいくら増やしても場所を取らない。しかもハード音源よりメモリを贅沢に使える分、音質的にも有利であり、面倒な結線がいらないなどいいことずくめなのである。ライブなどで持ち運びしない限り、もうハードの音源はいらないんじゃないかと思える。

シンセは大きく分けてアナログ系とサンプリング系に分けられるが、サンプリング系は超リアルなサウンドが得られる反面、元音が必要なことから市販ソフトが大半を占め、しかも結構いいお値段がする。しかしアナログ系はフリーウェアとして出回っているものが多数あり、海外には専門のダウンロードサイトも存在する。そこへ行けばいくらでも面白い音源がタダで手に入ってしまうのだ。そんな中で評価の高かったSynth1というアナログシンセを試してみたが、なかなかすごい音で感動した。海外物が大半を占める中で、日本人が作った優秀なソフトなのだ。実物のシンセを模したパネルにはパラメータが豊富に用意されており、いじるだけでリアルタイムで音色が変化する。これだけで相当遊べるものである。

synth1.gif
Synth1のパネル(ホストアプリがなければ単体では動作しない)

タダでこんなことができるなんて、いつの間にかすごい時代になったもんだ。まさに浦島太郎気分である。さすがにサンプリング系のフリーウェアというのは少ないが、オシレータの組み合わせでゼロから音を作っていくアナログシンセこそ、シンセ本来の醍醐味が味わえるものである。それがPC上で再現できるようになったのは画期的なことだ。

こういうことをしているとどうしても夜更かししてしまう。寝る時間と起きる時間がどんどん後ろへずれ込んでおり、不健康な毎日を送っている。プログラマの人でシンセマニアは結構多いように思うが、やはり共通点があるのだろう。自分もハマる素質がある。イジれるところが多いこと、結果がすぐにわかること、そういうものに弱い人たちがハマるのだ。プログラミングと同じで知的な面白さに満ちている。しばらく眠っていたシンセ熱が再び目覚めてきた。また金がかかりそうだな。(爆)
2005.12.23 10:20 | DTM | トラックバック(0) | コメント(0) | にほんブログ村 自転車ブログへ